FC2ブログ

■Washed Out / WASHED OUT『Paracosm』(SUBPOP / YOSHIMOTO R&C) (Cookie Scene)

9c bigger 448

 うだるような暑さをかき消す一陣の風。初来日は震災直後の2011年5月。「今だからこそ希望を届けたい」。彼は様々なインタビューでそう語っていた。時代の寵児ウォッシュト・アウトことアーネスト・グリーンは、伝統的なソウル・ミュージックヘ回帰しようとしている。一過性のネット・ムーヴメントではない、本来の意味で生活に息づく歌を作り始めようとしている。



 新作のタイトル『Paracosm』とはパラ・コスモ。つまり辺縁の宇宙、仮想宇宙といった意味になる心理学用語だ。子どもの頃の空想の万能感、例えば砂遊びでお城を作っては壊す過程で一国の盛衰がイメージのなかで起きている、長い歴史が幕を降ろすそんな感覚。タイトル・トラック「Paracosm」でアーネストは恋人と二人で作る理想の世界について歌っている。アルバム全体にわたって外部ミュージシャンの協力による様々なアコースティック楽器の導入、古いキーボードやサンプラーでヴィブラフォンやハープの澄んだ暖かい音色を再現、冒頭では鳥の声や自然音をサンプリング、それらによって彼が生み出した王国の厚みを増している。



 チルウェイヴとはニュー・ウェイヴなシンセ音にシューゲイザーの音像をかませた逃避的な音楽ジャンルとされる。逃避というイメージで私が真っ先に連想するのは、諸星大二郎『妖怪ハンター』の「生命の木」という作品だ。東北の山奥に住む隠れキリシタン達は、キリスト教のなかにあっても異教徒であり永遠に天国に行けない。しかし彼らを救うもう一人のキリストが現れ光の十字架と共にみんなを連れ出す。行き先は「ぱらいそ(ポルトガル語で楽園の意味)」。パラコズム=パライソ? 無論こじつけだ。しかし「Weightless」はまさにこの世界観に聴こえる。晴れ晴れしい顔でみんな上昇していく。



 YMOの細野晴臣は諸星大二郎の熱心な読者だという。YMOがテクノ・ミュージックからしだいに肉体性を帯びていったように、ウォッシュト・アウトもベッド・ルーム・ミュージックから自然のなかへ、デジタルからアナログ(生演奏)へと回帰していく。アーネストは偉大なソウル・シンガーの系譜に連なりたいのかもしれない。昨年はフリートウッド・マック・トリビュートにも参加した彼は、新作のレコーディングに際して60年代後半から70年代にかけての音楽を聴き込んだという。特に影響を受けたレコードはヴァン・モリソンの『Astral Weeks』。ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』にも感銘を受けたという。アーネストが現在住むジョージア州アセンズはR.E.M.の出身地だ。だからというわけではないが、R.E.M.がメンバー脱退を経て製作した『UP』『Reveal』といった後期の傑作群も私は個人的に連想した。そういえばこれらの作品も『Pet Sounds』に影響を受けている。R.E.M.が「今日は世界の終わり。みんなそんなこと知ってる。けれどいい気分」と歌ったフィーリングは無意識を通して彼に受け継がれてはいまいか?



 具体的な何かを指しているのではない。日本だけではない。今、世界中のいたるところで危機的状況は続いている。そんななかでまだ人々は権力を求め自己顕示欲を肥大させ、他者を攻撃し否定し傷つけ合っている。我々一人一人の心のなかで様々な物が奪われ、破壊され、汚染され続けている。「Great Escape」でアーネストはみんなで身を隠そうと穏やかに、しかしはっきりと宣言する。村上春樹の無意識を象徴するキャラクター、羊男のように。「震災直後だからこそ日本に行かなければならないと思った」と語る彼が奏でるからこそ説得力がある。



 もちろんアーネストは妻と共にアメリカの片田舎で平和に暮らしている。しかしある意味では彼と彼を包む世界の大切なものは破壊されてしまったのかもしれない。『Paracosm』はそれを復元しようとする試みであり圧倒的に前向きな逃避だ。



(森豊和)


>>>http://cookiescene.jp/2013/07/washed-outparacosmsubpop-yoshi.php






2013-08-16 : Washed Out :

■Washed Out / 【Washed Outセカンド!】チルウェイヴのパイオニア、ウォッシュト・アウト待望のセカンド・アルバム展開中!(Tower Records)

9c bigger 448









2013-08-15 : Washed Out :

■Washed Out / 最近ジャケ買いしたParacosm. なかなか良い。 音楽も出会い。

9c bigger 448









2013-08-14 : Washed Out :

■Washed Out / 【ROCK】ウォッシュト・アウトが良すぎる!日本での知名度は高いとはまだ言えませんがチルウェイブと言うジャンルを生み出した張本人にして、間違いなく2010年代を代表するアーティスト!そんな今作のテーマは真昼の陽光!この浮遊感たまんない (Tower Records)

9c bigger 448









2013-08-14 : Washed Out :

■Washed Out / 【輸入盤入荷情報】お待たせしました!国内先行で出てたZEBRAHEADとWASHED OUTの輸入盤が本日ドバッと入荷!(Tower Records)

9c bigger 448









2013-08-14 : Washed Out :

■Washed Out / 【WASHED OUT】チルウェイヴのパイオニア、ウォッシュト・アウト新作輸入盤が本日入荷!この夏必至の多幸感サウンドトラックです!(HMV)

9c bigger 448









2013-08-14 : Washed Out :

■Washed Out / WEEKLYチャート更新しました。先週の1位は初登場、WASHED OUTでした! (Disk Union)

9c bigger 448









2013-08-14 : Washed Out :

■Washed Out / 【本日の洋楽新譜情報】 (HMV)

9c bigger 448









2013-08-13 : Washed Out :

■Washed Out / 【速報】チルウェイブのパイオニアWashed Outの輸入盤も入荷しましたー!(Tower Records)

9c bigger 448









2013-08-13 : Washed Out :

■Washed Out / 国内盤が発売しているゼブラヘッドやWASHED OUTの輸入盤も入荷予定です。(HMV)

9c bigger 448









2013-08-12 : Washed Out :

■Washed Out / 【洋楽ROCK】国内盤が既に激売れ中のWASHED OUT新作『パラコズム』輸入盤が明日入荷予定です! (Tower Records)

9c bigger 448









2013-08-12 : Washed Out :

■Washed Out / 【本日発売☆サンレコ9月号】今月は洋楽アーティストを中心にインタビュー。

9c bigger 448









2013-08-12 : Washed Out :

■Washed Out / Washed Out Is Most Added (CMJ)

9c bigger 448

Washed Out Is Most Added
Radio 200 top 20 for the week of August 6, 2013

1308-WashedOut-loRes.jpg

>>>http://www.cmj.com/nmr/1308






2013-08-12 : Washed Out :

■Washed Out / Album Reviews (ele-king)

9c bigger 448

 チルウェイヴは、ベッドルームを「現場」に変えた音楽ムーヴメントだ。ベッドルームで生まれ、ベッドルームから発信され、ベッドルームで聴かれ、世界中のそれをつないだドリーミー・(シンセ・)ポップの一大潮流。だが、だからこそ、「そんなところにこもってないで現実を見ろ」と繰り返し問われつづけてもきた。
 ベッドルームは社会からの退却点であるか否か? チルウェイヴを支持するブロガーたちは「ここが現実ですけど?」と主張し、アーティストたちはただアルカイックにドリーミー・ヴァイブを生みつづけた。決着はともかく、こうした議論を含んだことで、チルウェイヴは時代の音としてのリアリティとコンセンサスとを得るにいたる。彼らの音はさまざまなジャンルをまたぎ、やがて「ヒプナゴジック(入眠)」なるマジック・ワードが登場して一切合切にオチをつけるまで、シーンには嗜眠的なムードと柔らかなサイケデリアが広がりつづけた。
※アンビエントやダブ、ドローンといった手法さえ、この文脈でずいぶんと一般化され、カジュアル化されたことは周知のとおりだ。実際のところ、パンダ・ベア以降のサイケデリック・ミュージックが示したユーフォリックな感覚を、今日につづくベッドルーム/ドリーム・ポップの流行へと咀嚼・拡張し、新しいリアリティとして提示することができたのは、まず何より彼らではなかっただろうか?
 ウォッシュト・アウトは、この流れを象徴するアーティストのひとりである。というか、チルウェイヴという呼称自体が、彼の『ライフ・オブ・レジャー』のために作り出されたようなものでもあった。それで、今日にいたるまで彼自身も繰り返しエスケーピズムの是非をめぐって追及されることになる。
 だから、筆者が彼の新作に望むものはけっして「新傾向」などではなかった。わたしはただ証明してほしいと思う。あのEPが世に出てから、彼とわれわれが過ごしてきたベッドルームの5年間が、間違いではなかったということを。チルウェイヴを象徴し、逃避的音楽のアイコンとなったあのEPの時間の先を、彼が「元気に」生きているということを。その限りでは新傾向でもなんでもいい。チルウェイヴの季節が終わっても、ウォッシュト・アウトは生きている、われわれも生きていかなければならない、さらに遠くへ逃げるのか、逃げるのをやめるのか、そのことがうやむやにならない音を聴きたいと思っていた。
 はたして、彼の回答は「パラコズム(Paracosm)」である。泣ける答えだ。
 これは空想の世界を意味する言葉だそうだ。幼年期からしばらくのあいだにかけて発達するという、別世界の創造体験。ウォッシュト・アウトことアーネスト・グリーン本人の説明によれば、「ここにある現実で起きていることが二の次になってしまう」、「白昼夢に耽りすぎている人たちのこと」......とすると、これはつまり、現実逃避と向かい合いつづけるのだという、ウォッシュト・アウトいまひとたびの宣言ということになる。
 胸が熱い。しかしまた、少し意外でもあった。なぜ意外かといえば、彼らの体現するエスケーピズムは「大して強くない」ことが特徴だったからだ。ひきこもるといっても、母親が怯えながらドアの隙間に食事を差し入れなければならないような反世界的な力はないし、クスリを一発キメて別の世界に飛ぶというニヒリズムもない。それはもっと優しくて弱くて、普通の人間の生活実感にあふれた逃避感覚だった。リーマン・ショックのあおりを受けて就職がままならなかった20代の、しかし実家暮らしで差し迫った生活の危機はないという境遇の、平凡な憂鬱......。
 だから、新作ではグリーン自身がずっと問われつづけてきたエスケーピズムへの批判や反応を部分的に受け入れ、社会性を回復していくという筋書きを漠然と思い描いていたのだ。ウェル・プロデュースなR&B、レトロな意匠のディスコ、あるいはバンド編成でのロック・アルバムという線もあるかもしれない。人生はまだまだ長い、青春を終えてしまった自分たちにとっては、そろそろ世間とうまくやっていく道を手探りすべきタイミングがめぐってきている。なんて具合の音が鳴らされているんじゃないか。
 しかし、ウォッシュト・アウトはそうしなかった。『パラコズム』はあくまで『ライフ・オブ・レジャー』を肯定し、その自然なつづきを描くアルバムだ。ほとんどの楽器をプログラミングではなく生演奏で録っているが、それは夢をもっと現実らしい夢に塗り直しているという点で業が深い。
 ジャケットを飾る花々の鮮やかな色彩。それは"パラコズム"のハープやストリングスの彩りそのままであり、"グレイト・エスケイプ"のダブルベースはさながら肉厚の花弁、その繊毛をそよと揺らしていくのが"フォーリング・バック"のアコースティック・ギターだ。16ビートを刻むハットは浜風、メロトロンはむせるような花々の香り、"フォーリン・バック"のノスタルジックなイントロ(ヴァン・モリソンの影響というのは、たとえばこうしたところに感じられる)は、その美しい背景を構築する。
 手に取れるように鮮明な夢である。オキーフの花々がそうであるように、こんな花々は実在しない。その実在することのない色を、ウォッシュト・アウトはたしかな筆致で塗り重ねた。『ライフ・オブ・レジャー』においてはチープなローファイぶりに意味があったが、レゲエやアフロ・ポップを意識するようにリズムに豊満さを備え、16ビートも心地よく洗練され、よりフィジカルな快楽性を増した今作は、彼の重ねてきた「逃避的な」時間に十分な厚みがあったことを証している。
 ぶっ飛ぶためのサイケデリックではない。そんなことではどこにもいけないと歴史的に証明されてしまったあとの世界の、醒めてここにいつづけるためのサイケデリック・ミュージック。それがそもそも彼らの音でありチルウェイヴではなかったかということにあらためて思いいたる。インターネットのためにベッドルームの状況も変わり、そこは必ずしも世界を遮断する場所ではなくなった。パンダ・ベア『パーソン・ピッチ』のインナーには、自室に鎮座する彼のPCが象徴的に写し出されているが、それはベッドルームが世界への入口かもしれないという、いまを取り巻く環境の喩のようですらある。チルウェイヴの源流にあるあの名盤から、閉じながら開かれるベッドルーム・ポップへとサイケデリックの読み替えが行われたこの数年の成果をわれわれはまだ手放すわけにはいかない。
 彼の音の浮遊感は、上昇というよりは落下の感覚だ。自由落下。行くところまで行って止まる。なるようにまかせる。詞にもそうしたモチーフが頻出する。思えば、最初に今作を聴いて「やっぱりウォッシュト・アウトは信頼できる」と感じたのはこの落ちる感覚を手放していなかったからだったのかもしれない。昇ってほしくない。というか、じっと落ちることについて感じ、考えていてほしい。昇ることからは引き出せない種類の知恵と、誰も不幸にならない落ち方とを示してほしい。"ドント・ギヴ・アップ"だなんて、なんと美しい逆説だろう。筆者には諦めることを諦めないというふうにしか読めなかった。それがアルバム中もっとも心地よく、ポップスとしての完成度を備えた曲であることが頼もしい。
 ここのところ通勤の山手線は完全にヴァカンスへと赴く人々のムードで常ならぬ高揚感を運んでいるが、「夏までにどうしても出したかった」とウォッシュト・アウト本人が述べるように、"ドント・ギヴ・アップ"はイヤホンのなかで夏の車中にしっくりと馴染みながら、それを洗うようにも鳴っている。この曲があれば、日常が戻り、秋がくるのもこわくない。
橋元優歩

>>>http://www.ele-king.net/review/album/003258/






2013-08-12 : Washed Out :

■Washed Out / "Beautiful, simple moments are just as profound and worthy of writing about as depression or death." ( Pitchfork)

9c bigger 448









2013-08-09 : Washed Out :
« 前のページ  ホーム  次のページ »





プロフィール

BIG NOTHING CO LTD.

Author:BIG NOTHING CO LTD.
http://www.bignothing.net

最新記事

カテゴリ

検索フォーム